トレーナー,ランナー,鍼灸マッサージ師と、いくつかの立場がある私ですが、ケガを休んで治すのは一貫して反対です。

もちろん、骨が折れていたり、手術した後とかは別ですよ。
でも、休まなくても治るケガを休んで治すと、再発したり別のケガをしたりして、上手にスポーツ復帰できない。

おそらく1,000人以上の選手を数年単位のスパンで見てきましたが、いつまでたってもちゃんと治さない選手は、

・休まなくても治せたものを休んだ
・守らなくてもいいものをサポーターやテーピングやらで守った
・機能改善を怠っている
・余計なことをしている

これら4パターンのいずれかに該当します(全部に該当する選手もいますよ♪)。
例外はありません。

それが、職業トレーナーとして活動してきた17年間で私が見てきた事実です。

機能改善を怠るのは論外ですけど、サポータやテーピングの話と余計なことの話は置いといて、今回は休んで治すのに反対する理由を、以前とは別の切り口で説明します。

以前の切り口その1:多少痛くても走っていいんじゃない?って思う理由
以前の切り口その2:多少痛くても走っていいんじゃない?って思う理由 Part.2

 

名付けて植木鉢モデル

ケガに対する耐力は植木鉢のようなものです。

ちょっとゴミが入っていて、運動しているときは、蛇口から水が出ます。

運動強度が高いほど、勢いよく出てくるし、運動時間が長いほどたくさんの水が植木鉢に注がれます。

植木鉢なので、底の穴から少しずつ水が出ていくのですが、水の勢いがある程度以上に強いと、水面が上がっていきます。

そして、あふれてしまった時がケガする時であり、痛い時。
あふれずに運動が終わればケガせずに済むし、翌日以降の運動再開時には水はひいている。そういうイメージです。

 

ケガを防ぐためにできる3つのこと

植木鉢モデルでは、ケガを防ぐ=水をあふれさせないためにできることは3つあります。

1.容積を大きくする

容積の大きさは強さ,丈夫さです。

運動すれば大きくなるし、運動しなければ小さくなる。

なので頑張って練習するのも、立派なケガの予防法です。

運動せずに容積が大きくなるのは、男子選手なら中1から中2くらいまでで、女子選手は小5から小6くらいまで。あくまで印象ですけどね。

頑張って練習しても、ちょっとずつしか大きくならないし、運動強度・量が不十分だと小さくなっちゃう。

だから、大会前だけ頑張る選手は、小さくなった植木鉢にジャージャー水を注ぐようなものなので、ケガします。

 

2.流れ込む水の量(=運動強度)を減らす

軽~く運動したり、ちょっと運動する程度にすればイイんです。

極端なこと言うと運動しなければOK。

競技スポーツの選手なら、この方法では予防しません、普通はね。

 

3.ゴミを取り除く

現時点でゴミだと考えているのは

・曲がらない足首
・曲がらない股関節
・伸びない股関節
・片足立ちが安定しない足裏や足首
・閉じた胸

こんなところでしょうか。

まだ確信はありませんが、右でしか切り返せない、とか、左でしか踏み切れない、とか、そういう動作や技術の偏りもゴミのような気がしています。

もしそうなら、野球とかテニスとか、左右非対称の動作が多い競技は、そうでない競技よりも、ゴミが多い=ケガしやすいってことになりますが、私の経験では矛盾していません。

 

ケガを早く確実に治すには

いよいよ、ケガしてしまった時の話です。

スポーツ復帰がゴールの場合、早く確実に治すのに大事なポイントは2つ

1.できる運動はする

ケガしているときには、できないことがありますし、できることも強い強度でできるとは限りません。

なので、どうしても植木鉢の容積が小さくなっちゃいますが、できる運動をちゃんとすることで、それを最小限に抑える。

コレがひとつめのポイント。

具体的には、歩けるのなら歩く、走れるのなら走る、スピード出せるのなら出す、止まれるのなら止まる、跳べるのなら跳ぶ。

これでいいんです。なんの専門知識もいりません。

何ができて何ができないかは、痛みで判断すれば問題ありません。

「ゆっくりなら走っても痛くない、じゃあゆっくりなら走ってもいいんだ」

「切り返しは痛い、じゃあまだ切り返しはダメなんだ」

こういう判断です。

そのうち、

「昨日痛かったことが、今日は痛くない、じゃあやってもいいんだ」

「先週痛かったことが、今週は痛くない、じゃあやってもいいんだ」

となり、順調にいけばいずれは、

「どんな運動しても痛くない、ってことは治ったんだな」

ってなります。

「治ったから運動する」ってやるんじゃないんです。

 

2.機能改善

ひとつめのポイントだけで治ることも少なくありませんが、「できる運動が増えてこない」、とか、「いつまでたっても特定の動作が痛い」、とかいう場合は、植木鉢にカサの大きなゴミが入っています。

これを取り除かない限りは、すぐに水があふれちゃう。

足首と股関節のことに取り組むのも大事なことですが、機能改善にはある程度の時間がかかります。

そうこうしているうちに、どんどん容積が小さくなってきて、ますますあふれやすくなってきちゃいます。

そうなると、復帰がより難しくなるので、運動を制限するほどの痛みが出ている場合は、早めに専門の医療機関に相談して下さい。

冒頭でも触れましたが、余計なことする選手も上手に復帰しないんです。

特定の部位を強くしたり、的外れな部位を柔らかくしたりして、植木鉢の壁に穴をあけるかの如く、こじらせる選手がいますので、その意味でも、専門家に相談することをお勧めします。

足首や股関節のことは、予防として普段から取り組んでくださいね。

足首に関してはこちら:以前はまったくやらなかった足首の背屈ストレッチ
股関節屈曲に関してはこちら:おしりのストレッチ・ストレッチは1種目だけ、ってことにもしなったらコレにします
股関節伸展に関してはこちら:鼠径部のストレッチ・ランニングにハマる前はたいして重要だと思っていなかったんですが

 

休んで治すと強くならない、上達しない

休んで治す=水の量をゼロにして治すと植木鉢の容積はぐんぐん小さくなって、運動を再開してもすぐに水があふれちゃう。

なんとか復帰できたとしても、

足が速くなった
ジャンプが高くなった
新しい技術が身に付いた
背が高くなった
体重が増えた
レギュラーになった
ポジションが変わった


などといったタイミングで、どうせ水があふれます。いちど小さくなった植木鉢を大きくするのって大変ですから。

こうなると、ケガを繰り返すか、伸びずにチームを離れるかです。

前者もかわいそうですが、後者も見てられませんよ。