ハイキングコースやよく整備された登山道を歩く時にも履けるワラーチ作れない?って知人から持ちかけられたのがきっかけでいくつも試作品を作り、試し履きを重ねてきた不整地用ワラーチですが、2019年8月7日から「スニーカー用5mm厚ソール + 3mm厚ゴムスポンジ + ノンスリップレザー中敷き」を不整地用ワラーチ(3層)として、

また、「スニーカー用5mm厚ソール + ノンスリップレザー中敷き」を不整地用ワラーチ(2層)として販売を開始しました。

当初の条件は、①多少の泥でも滑らない ②小枝踏んでも貫通しない ③薄くて軽ければなおよし だったのですが、ノンスリップレザー中敷きの剥がれ問題の対応に右往左往し、③の薄さと軽さに対してはあまり手が付けられませんでした。

薄さに関してはゴムスポンジを省略した2層タイプを正式販売にこぎ着けたことで工夫した気にならなくもないですが、軽さに関しては本当にノータッチ。 ま、総重量のほとんどがソール素材の重さなので工夫のしようもないのですが。

今後はソールの消耗具合とストラップの傷み具合を引き続きチェックしていきます。

これまでのあゆみ

2017年2月:1作目,2作目を試作

試作品の1作目は最低限のワラーチ6mm厚のソールに4mm厚のゴムスポンジを重ねてノンスリップレザーを貼ったもので、

2作目は同じソールとゴムスポンジに、布目加工された0.3mm厚のゴムシートを貼ったものでした。

それぞれ厚さが1cm以上あるので小枝踏んでも貫通することはありませんでしたが、底の凹凸パターンがよくないのか泥での滑り止め効果はほとんどありませんでした。

また、ノンスリップレザーは雨の日に剥がれが生じ(※)、

布目ゴムシートは履く度に足裏が真っ黒になるなど、中敷きもイマイチでした。

※ノンスリップレザーは、購入時は薄いガーゼ状の布で裏打ちされた状態なのですが、剥がれたのはレザーシートと裏打ち材との間に生じたものでしたので、これ以後は裏打ち材を剥がしてから加工することにしました。

3月~9月:放置期間

試作品の出来がイマイチだったのと、当時は私自身が不整地でワラーチを履いて歩いたり走ったりすることが滅多になかったのとで、試走も新たな試作品作りもほとんど進みませんでした。

10月:3作目を試作

半年以上の放置期間を経て試行錯誤を再開しました。 多少の泥でも滑らないという条件をクリアするために、最低限のワラーチ6mm厚のソールを使いまわすのをあきらめ、底の凹凸の深いものを試すことにしました。

まずは登山靴で使われるソールを2種類取り寄せたのですが、

硬くてハサミが入らず・涙。 なので、凹凸はあまり深くないけどもう少し薄くて柔らかいスニーカー用ソール(5mm厚)を調達しました。 個人でもネットで買えるソールです。

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このソールもハサミでサクサク切れるほど柔らかくはありませんが、なんとか成型して、3mm厚のゴムスポンジを重ねて4号帆布で中敷き加工しました。

12月:順調な3作目

試し履きはおおむね順調でした。 10月中旬に雨で少しぬかるんだ高尾山を歩く機会があったので履いてみたのですが、凹凸が浅い割には結構グリップします。 泥が左右に逃げるような凹凸パターンが効いているのかもしれません。

小枝踏んで貫通する心配も全くありません。

2018年1月~10月:2度目の放置期間

1月からは寒くて試し履きがはかどらず、3月からはワラーチ以外の業務の都合で自宅を留守にすることが多く、2度目の放置期間でした。

2019年3月:4作目の試作と3作目の試走再開

3作目よりも柔らかいスニーカー用ソールを見つけたので、昨年11月に4作目を試作しました。 このソールも個人で買えます。

同時に、3作目の試走も再開させました。

ミッドソールのゴムスポンジは3作目と同じ3mm厚で、中敷きはノンスリップレザーに再挑戦しました。

3作目よりもほんの少し柔らかいだけですが、加工しやすさはずいぶん違います。 値段もこのソールのほうが少し安くてありがたいです。

なお、11月中には出来上がっていましたが、試し履きを始めたのは19年の2月下旬から。 3作目の試走再開もその頃です。 寒さに心折れてました。

4月:5作目を試作

3,4作目の試し履きを継続しつつ、4作目のソールに4号帆布で中敷き加工だけしたものを5作目として作りました。

ミッドソールにあたるゴムスポンジを省略して、少しでも軽くなればと思ったのですが、

26.5cmのストラップがついてない状態で129g。 ウチのラインナップでいちばんよく売れる最低限のワラーチは8mm厚でも60gを少し超えるくらいなので、やはり重いですな。

鼻緒の結び目は底に出しています(ミッドソールがないと隠せないので)。 凹凸のくぼみに結び目がくるように作りましたが、3作目ほどうまくおさまっていません。

履き心地はとにかく「硬い」です。 登山道では足裏に路面の凹凸を鋭く感じることもありますが、山歩きの技術でカバーできる範囲だと思いました。

一方、その硬さがいいのか舗装路を歩いていると歩行動作の左右差を強く自覚できます。 コレを履いて、左右差が小さくなるように工夫しながら歩くだけで身体のバランス改善につながるのではないかと期待しながら試し履きしています。

4月下旬:4作目の中敷きが剥がれて作り直し

登山道を中心に100kmほど試し履きした時点で、踵に近い箇所でノンスリップレザーの剥がれが生じました。

登山道の下りで剥がれたのだと思います。 裏打ち材を剥がしてから加工するようになって以来、ここまで派手に剥がれたのは初めてです。

接着テープを変更し、もったいないのでゴムスポンジとノンスリップレザー以外は再利用して、作り直しました。

作り直す前は隠していた鼻緒の結び目も工程の都合で底に出しました。

5月28日:4作目を再度作り直し

接着剤に詳しい方から「塩化ビニル用の接着テープを使わないといけないのではないか」という指摘を受けました。 塩化ビニルに含まれる可塑剤が粘着成分を壊してしまうというのです。 たしかに、ノンスリップレザーは塩化ビニル樹脂でできています。

4号帆布で中敷き加工した3作目と5作目の試作品が、同じコースで試し履きしているにもかかわらず全然剥がれず順調に距離を重ねていることを考えると、ノンスリップレザーに剥がれやズレが生じる原因はその可塑剤とやらにあるのかもしれません。

4月下旬に作り直した試作品はまだ剥がれていませんが、よく見ると少しズレが生じているので、

さっそく専用の接着シートを購入して作り直しました。 このシートでも上手くいかない可能性もあるので、安く買える1cm幅のテープ状接着シートを調達したので、隙間なく貼るのが手間でした。

7月23日:5作目のストラップが少し傷んできました

二度接着シートを変えて作り直した5作目のワラーチですが、中敷きの剥がればかりが気になってほったらかしになってたストラップをチェックしてみたところ、内側の接続部でストラップの傷みを発見しました。

すぐに交換する必要があるようには見えませんし、ちょん切れるまでにはまだまだ相当かかるのではないかと思いますが。

一方、鼻緒の結び目はまだ全く傷んでいません。

5作目としてはまだ180kmくらいしか履いてませんが、ストラップは作り直すたびに使いまわしているので、ストラップにとっての総走行・歩行距離はおよそ250kmです。

ワラーチは10種類以上履いてきましたが、鼻緒の結び目よりも先に接続部が傷みだしたのは今回が初めてです。 今までのソールはスポンジ素材で柔らかかったため、不整地用ソールの硬さが理由のひとつだと考えています。

8月7日:2タイプを正式販売

近所にある低山の嵩山頂上までを往復するコースを15本と、総走行・歩行距離200kmをクリアした時点で、中敷きの剥がれもズレもなく

他の部位の目立った傷みもないため、4作目(2度作り直したけど)を不整地用ワラーチとして正式販売することにしました。 耐久性チェックとしての試し履きは継続します。

スニーカー用ソールに4号帆布中敷きを直接貼った5作目は、

不整地の凹凸から足裏を保護するには十分なので、傾斜を歩くには少々滑りすぎる帆布からノンスリップレザーに中敷きを変更して正式販売します。 この5作目の試作品は4号帆布の耐久性チェックとして今後も履き続けていきます。

3作目の、ちょっと硬めのスニーカー用ソールは、足音がやや大きい(私の走り方の拙さにも原因ありですな)だけで全然悪くないのですが、加工のしやすさと値段とで4作目のほうに正式販売を譲りました。(3作目のソールを使用して作ったワラーチを試作副産物としてオンラインショップで販売しています。)