こういうものは、実際やってみてどうだったか? 続けてみてどうだったか? ってことのほうが大事だと思うのですが、エビデンスを示せと言われたときは2012年7月に放送された『NHKスペシャル ミラクルボディー 持久力の限界に挑む』という番組の中で示されたデータを引用して説明しています。

『NHKスペシャル ミラクルボディー』はトップアスリートのパフォーマンスの秘密に高性能機器を駆使して迫るシリーズで、10回目にあたる『持久力の限界に挑む』で取り上げられたのは当時マラソン世界記録保持者のパトリック・マカウ選手です。

番組の内容は幼少期を裸足で過ごし、つま先小指側着地で走るマカウ選手と

フラット気味に着地するロンドン五輪マラソン日本代表の山本選手とを比較するもので、

紹介された計測結果はワラーチで走ること(=裸足に近い状態で走ること、つま先着地に矯正すること)を人に勧める際の根拠としては十分なものでした。

 

着地衝撃を受けにくい

両者の着地衝撃のピークの比較がこちら。

山本選手が体重の2.2倍の衝撃を受けるのに対して、マカウ選手は1.6倍。

地面反力がほぼダイレクトにスネに伝わるフラット着地のほうが衝撃が大きいのは予想どおりですが、思っていたよりも差が大きかったです。 これがかかと着地なら、地面の動きに逆らうような角度であたりやすいので、もっと大きな衝撃を受けるんでしょうね。

 

ふくらはぎの負担が小さい

予想外なのはこちらの結果です。 着地時にふくらはぎの筋肉が発揮する力を比較したところ

山本選手が最大筋力の81%を着地のたびに発揮しているのに対してマカウ選手は48%。

多くの人にとって、にわかには信じられない結果ではないでしょうか。

私も2014年からつま先着地に挑戦しているので今ではこの結果に納得がいきます。 余分な力を抜いてつま先着地ができるようになると、ふくらはぎは本当に楽です。 けどそれ以前は、つま先着地はふくらはぎの負担が大きくて、長い距離なんて走れるわけないって強く思いこんでいましたから。 こればかりは、実際につま先着地に矯正してみないと納得できないかもしれません。

なお、この結果は筋電計のパッドを腓腹筋(表層にある一番大きな筋肉)につけて計測したものなので

深層の筋肉で測った場合は(パッドをつけられないので測れないんでしょうけど)、もう少し違った結果になるかも知れませんね。

 

深部底屈筋群の発達

番組では深部底屈筋群と呼んでいましたが、下腿にある長母趾屈筋,長趾屈筋,後脛骨筋の断面積が、マカウ選手のほうが山本選手より37%大きいという結果でした。

また、番組では着目していませんが、腓骨筋もマカウ選手のほうがずいぶん大きいように見えます。

いずれも細い筋肉たちですが、土踏まずの保持足首の安定に重要な役割を果たしています。 腓骨筋なんて、働きが悪くなるとすぐ捻挫をしてしまうくらい、すごく大事な筋肉です。

 

最後に

小さな着地衝撃とふくらはぎの負担の低さは、つま先着地で走りさえすればクッションの効いた厚底シューズでも享受できると思いますが、深部底屈筋群や腓骨筋は裸足に近い状態でないと発達しないでしょう。

ある程度の量も必要なはずですが、高校野球部とサッカー部でワラーチランを取り組んだ経験では最低でも3kmを週に1回ってところだと考えています。