ワラーチを製作・販売するようになった経緯

走るサンダル ワラーチの存在は、2014年の春に『BORN TO RUN』という本を読んで知りました。

クリストファー・マクドゥーガル NHK出版 2010-02-25
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by ヨメレバ

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でも、すぐに興味を持った訳ではないのです。 むしろ最初は、例えるなら寒中水泳とか激辛カレーとかそういう類のもので、自分には関係ないという印象でした。

一方、本の中で展開されている「裸足で走ればランニング障害を克服できる」という話には強く惹かれました。

当時はその半年前に始めたランニングが痛みで思うように走れなかった時期で、2度挑戦したフルマラソンはどちらも完走できませんでした(トレーナーのくせにね・涙)。

仕事のコマーシャルにもなるかな? なんて軽い気持ちでSNSにフルマラソン挑戦を公表していたし、中学と高校の陸上部をそれぞれ1チームずつサポートしていたこともあって、痛みで満足に走れない状況が続くことは立場上良くなかったのです。

ランニング足袋で走ってみたところ・・・

それでも、裸足やワラーチで走ろうという発想にはならず、思い浮かんだのは地下足袋でした。

できるだけ軽くて底の薄いものをネットで探していたところ、ランニング足袋なるものを発見。

通販で即購入。 4,860円でした。

初めて走った日のことは今でも覚えています。 接地衝撃が後頭部まで伝わってきて身の危険を感じるほどでしたから。

でも、柔らかい接地をこころがけてみたところ、はじめはスピードは出ないしストライドも小さかったものの、すぐに走れるようにはなりました。

そしてなんと、その前の日まであちこち痛くて満足に走れなかったのが、その日はほとんど痛みなしで走れて、以来、故障らしい故障は一度もないんです。

追記:2018年3月時点でまだ故障なしが続いています。

球技の基礎トレーニングに良さそう

痛みなく走れることに驚き喜んだのと同時に、球技のトレーニングに取り入れたいとすぐに思いました。 安定して片脚立ちする能力が高まると思ったからです。

この後に履くワラーチもそうですが、足袋で走るとふくらはぎの下の部分にとても効きます。

このあたりはヒラメ筋とか後脛骨筋とか腓骨筋とか、大きな力は発揮しないものの足首や足裏の機能に重要な筋肉がある部位なので、理屈の上でも腑に落ちます。

サポートしていた野球部の監督に話してみたところ、これまたすぐに興味を持ってくれた(野球界では子供たちの「踏む力」の低下がよく話題になるようです)のですが、問題は費用でした。

費用と衛生面で足袋はボツに

このランニング足袋は値段相応の価値がある商品だと私は思いますが、前例のない事に消極的な街ということもあって、選手のご父兄に「足袋履いてランニングさせるから費用負担して」とお願いするのはハードルが高かったんです。

安い地下足袋を探しにホームセンターをいくつか回ってみたりもしたのですが、安いヤツはつくりがゴツくて、裸足感覚とは程遠かったです。

それと衛生面。

しばらく履いていると結構臭います(特に指の又のところが)。選手たちがこまめに足袋を洗う姿も想像できませんでした。

これらがネックになりランニング足袋はボツになりました。

仕方なくワラーチ

足袋がボツなら裸足かワラーチですが、裸足は春と秋のそれぞれほんの1,2ヶ月しか走れません(冬はムリだし夏の地面はものすごく熱いのでこれまたムリ)。

なのでここに来てようやく、なかば消去法でワラーチにお鉢が回ってきたのです。

当時からネットにはワラーチの作り方がいくつも公開されていたので、「作れるだろう」とは思いました。

でも、そもそもワラーチなんかで走れるのか、この時点でも正直まだ半信半疑でした(だってサンダルですからね・笑)。

自分で試して、息子でも試して

もし本当にトレーニングに導入することになれば選手に材料費を負担してもらうので、「結局継続できませんでした」ってわけにはいきません。

そこで、まず自分がある程度走ってみることにしたのです。

まずは商品化されているワラーチ、ルナサンダルを購入して走ってみました。

始めは何故か右足だけズレてなかなか思うようにいきませんでしたが、ウォーキングから始めなおして、ズレなくなってからランに移行したところ、想像以上に快適に走れました。

また、ズレないように歩き、そして走れるようになる過程で足首や足裏の機能改善とランニング効率が上がっていくのを実感して、足袋よりも球技の基礎トレーニングに適していると思うようになりました。

ちなみにルナサンダルは1万円弱。 選手に買わせるわけにはいきませんのでやはり私が手作りしないといけません。

作って走れたけどすぐ壊れた、では困りますので次は耐久性チェックです。 また、長い距離を走った場合のケガも当時はまだ心配でしたので、自分のと息子(小6)のをまず作って、暇があればワラーチで走りました。

栄えある1号機がコチラ。

結局その月(2014年8月)、私はルナサンダルで130km、ワラーチで50km走り、息子はワラーチで6km走を週に2~3本(合計5~60kmってところでしょうか)走りましたが、ワラーチも私も息子も壊れる気配は一切ありませんでした。

たくさん作っているうちに手馴れてきて商品化

耐久性もケガもどうやら問題なさそうだ、ってことでようやくトレーニングとして導入することになり、まず監督やコーチの先生方のを作ってから、選手のを作りました。

たくさん作って手馴れてきたら商品らしくなってきたのと、話を聞きつけて欲しがったチーム外の人にお作りしたところ大変喜ばれたこともあって、ネット通販でお譲りすることにしたわけです。

こんな経緯で始まったワラーチ販売ですが、最初の年は数足しか出なかったものの、2年目以降は一定数注文があるので自分でも驚いています。

毎年少しずつ工夫を凝らして改良を加えていますが、ランや球技の基礎トレーニングに適した薄くて軽いものであることは変えないように気をつけています。

ワラーチのネット販売はコチラ ⇒ https://bukatsudo.base.shop/